「あなたは、これからの生き方を考えようと思うけれど、自分の生き方が見いだせない。【私の何がダメなのか?】それは、自分の城がないから。自分の世界を造っていないから。だから、今日から自分の城を造ろうとして石を運ぶ。自分の城を造るようになったら、周囲の目が気にならなくなる。【自分のこのいらだちはなぜか?】それは自分だけのスケジュールがないから。私の時間がないから。自分の思うとおりにいかないから。自分の本性に逆らって生きてきた人は、牢獄に入っていると思ったほうがよい。心の中で手枷、足枷をはめられている。その心を、あなた自身で自由にしてあげること。そこで、五年後には自分の時間を作る。今は他人のために時間を使うことに甘んじよう。今は我慢しよう。これから、そのために準備を始めよう。【でも、そうしたらほんとうにこの不安やいらだちは10年後に消えるのか?】消えないかもしれない。消えないのは、あなたが消えるように準備をしていないから。だから、今日から一日一日、1ミリでも進む。その意識で生きる。きっと春が来る。春が来たら寒い冬は違って見える。枯れ木は冬の空に似合う。冬に緑はいらない。今は冬。秋にはイチョウの葉がキレイ。そこでサクラは頑張って咲かないほうがいい」

著 加藤諦三 一部抜粋