「自信のない人は、要するに‘‘できないことをやろうとした人,,である。たとえどんなとこでも、自分にできることをやろうとした人は自信をもっているはずである。女性はどんなに頑張っても、素晴らしい男性にはかなわないのではないか。男性はどんなに頑張っても、素敵な女性にはかなわないのではないか。そんなことを思ってみてもはじまらない。女性は女性にままで頑張ればよい。女性は女性のままで努力することによって自信を得てくる。やはり、男性にしろ、女性にしろ、努力ぬきに自信を得ることはできないであろう。努力ぬきに自信はないが、まちがった努力はいよいよ人に自信を喪失させる。努力すればするほど自信をもってくる人と、努力すればするほど劣等感を深刻にする人がいる。女の人が女のままで努力した時に自信を強め、女の人が女を否定して男になろうと努力した時、劣等感を強める。自己肯定の努力は自信をもたらし、自己否定の努力は劣等感を強める。人間の努力にはこのように二通りある。必死になっている人にも二種類ある。基礎をきっちりやろうとして必死になるタイプと、とにかく早く先にいこうとするタイプである。劣等感を持つ人は、とにかく早く先にいこうとするタイプである。ところで、どうして自分にできないことをしようとする人と、自分にできることをしようとする人がいるのか。ことは単純である。自分にできないことをしようとして自信をなくす人は、自分にできないことをやめようとする決断ができないのである。自分にできないことをしようとするのは、それによって自分の優越を示そうとしているから。自分にできないことに固執して自分の優越を示そうとしている限り、言い訳が出てきて、やがて神経症になっていく。自信は自信を育て、劣等感は劣等感を育てる」

著 加藤諦三 自信より一部抜粋