「会社の派閥争いなどで、今まで味方だった人が邪魔になるということがある。そうするとそれを仲間内で排除するのが難しい。そんな時に敵である派閥の人の助けを借りるということをする。今までの敵の力を利用して、邪魔になった仲間の人を排除しようとする。しかしこれは一時的に成功するが、一年後、二年後にはもっと大きな困難をつくりだしている。利用した人はもともと長い付き合いがある人ではない。敵の派閥の人である。その時には価値があったが、都合悪くなった仲間を排除するということが済んでしまえば、必要にない人である。またもともと馬の合う人達ではない。人間的に親しみを感じる人ではない。一緒にいて居心地のいい人ではない。するとその仕事が終われば、長い間にはまた敵と味方になっていく傾向のある人である。そして元のままの敵になった時には、その人と排除された人とが一緒になって憎しみを持って、こちらの派閥を壊しにかかる。仲間内で争いが起きた時には、仲間内で解決すること。外の力を借りると、最後にはもっとひどい結末になる」

著 加藤諦三 人生の重荷を軽くするヒントより一部抜粋