「この現実の世の中には色々な人がいる。誠実な人もいれば、ずるい人もいる。あなたの不安を解消してくれる人もいれば、逆にあなたの不安をかき立てる人もいる。質の悪い人とトラブルになった時は自然災害に等しい。でもそういう人達と関わり合うのが自分の運命だったのである。それを運命と受け止め、どう生きるかを考えること。考えることと悩むことは違う。悩んでいる方がはるかに心理的には楽である。悩んでいるということは愚痴をこぼして恨み辛みを言っていて、具体的に解決に乗り出さないのだから。悩んでいる人は、動かないで座っているだけ。次から次へとトラブルが生じてきて、エネルギーがなくなってきた。そうした時に、動くことは心理的ばかりではなく肉体的にも辛い。でも動いて解決に向かう。それしか生きる道はない。どんなにそれが辛くても動く以外に解決方法はない。かけたくない電話をかける。そして言いたくないことを言う。頼みたくないことを頼む。会いたくない人に会いに行く。聞きたくないことを聞く。損をしたくないのに損をする。悔しい気持ちを抑えてベストを選択する。それはいばらの道。エネルギーのない時に、いばらの道は痛い。でもそこを歩くとこでしか先に進めない。その時にいばらだけに気を取られないこと。確かにトゲはあるけれども、バラの美しさもある。自分に意地悪な人もいるが、自分に親切な人もいる」
著 加藤諦三 一部抜粋