「完璧にもいろいろある。一つだけ満たしているものが完璧。西洋料理、中国料理、日本料理。全部そろっているのが完璧と思っている。全部一緒にしたのでは美味しくない。完璧な料理はない。それぞれが完璧。それぞれが伝統の食。伝統がなくなるときには食文化がなくなる。完璧ということは心が貧困ということ。知恵がない時代には食文化は貧困になる。環境と自分が生きやすいように考えた時に文化が生まれる。人の味覚も違う。だからフランス料理がありインド料理がある。味覚が違う。その国で生きていきやすいように食を考えたのが、食文化。今の自分がいいと思うのがよい。こう思えるのがエネルギッシュな人。自分を嫌いな時は、どうしても他人を嫌いになる。他人に余りにも批判的なときには、自分にも批判的である。人を好きになったときには自分も好きになる。これが好循環をしていく。また悪循環にも陥る。自分の長所を正当に評価できないのは心が疲れているから。自分の弱点を過剰に意識するのも心が疲れているから。完璧であろうとするのをやめること」

著 加藤諦三 一部抜粋