「つきあう人がいつも変わる。仕事がいつも変わる。長年かかって出来上がってくる人間の信頼関係のようなものがない。【あいつは凄い】と言うが、その【あいつ】が会うたびに違う人になっている。本気とは続いていること。人間関係も続いているということが本物。彼らはその場その場で立場が変わる。長年かかって出来上がってくる、仕事の熟練などというものはない。会うたびに仕事の名刺が変わっている。しかも職種が変わる。要するに生きていても積み重ねがない。やっていることが積み重なっていかない。あることを深めるということができない。何をしても中途半端。最後まで仕上げることができない。心を紡いでいかない。心の中で何かを編んでいない。人生が長年に渡って編んで出来上がるセーターのようなものになっていない。だからどこか態度に落ち着きがない。一筋に【これを追いかけている】というようなことがない。それが自分探し症候群」
著 加藤諦三 本当の自分はどこにいるより一部抜粋