「捨てるとは、例えば【嫌われてもいい】と思うことである。【姑を捨てる】とは【嫌いな姑に、嫌われてもいい】と思うこと。そう覚悟ができること。そう思えばノイローゼにならない。そう覚悟をすると情況は好転する。好転する前に何かを捨てる。好転するのをただ待っていても、なかなか好転しない。計画的に捨てる。結果として全部変わる。悩んだときには、【これを捨てる、あれを捨てる】と紙に書いてみる。そうすると【これが自分にとって大切だ】と分かる。全部失わなければ求めているものに気がつかない。そうは分かっていても簡単に執着を捨てられない人もいる。そういう人は自分の欲しいものに優先順位をつけること。Aという人とBという人と、どちらに好かれるのが大切か?AとBと、どちらをすることが大切か?そして【より大切なもの】への意識を集中させる。一滴のインクが落ちると池全体の色が変わってしまう。心の整理とは、そのときに【これは一滴のインクにすぎない】ということをはっきりとさせること。それは、ちょっとした情報で不愉快になってしまった気持ちを立て直すための方法である。池に一滴のインクを落とすと池全体がインクの色になる。でも川なら色は変わらない。それは動いているから。エネルギッシュに心が動いて生きているときには、一滴のインクはそれほどの力を持たない。しかし私たちの多くは、いつもエネルギッシュに生きていられるわけではない。心の整理学とは、取るに足りない不愉快な出来事が、幸福をだいなしにすることのないようにするための知恵である」

著 加藤諦三 心の整理学より一部抜粋