「自信をもとうとすればするほど自信を失っていくということがある。自信はある生活の結果としてでてくるもの。自信をもとうとするより、自信をもてるような生活の仕方をすること。あまりお金もないのに、虚栄心から無理して高い服を買う。それでいて、自信をもとうとしても無理。それで自信をもとうとすれば、ちょうど、あることを忘れよう忘れようとすればするほど忘れられないように、自信をもつことはできない。自信をもとうと懸命になってあがいている限り、自信はもてない。むしろ逆に、自分は自信のないままで当分生きていこうと考えることである。つまり、自信のない自分を受け入れるのである。そうすれば無理して高い洋服を買おうなどとはしないだろう。【須弥山と丈競べ】という格言がある。須弥山とは、仏教で世界の中心にある山とされている。その高い山と自分の背丈をくらべるということである。自信のない人が虚勢を張って、自信のある人と張り合っているのは、須弥山と丈競べをするようなもの。そもそも自信のある人は、他人と張り合わない。ところが自信がないと、すぐに他人と自分を比較し張り合ってしまう」

著 加藤諦三 自信より一部抜粋