若い頃は今には非にならないくらいの劣等感の塊でした。自分を大きく見せ虚勢を張って生きていた。当然そうなるとコミュニケーションもうまく取れない。嘘や虚勢が相手にばれるのではないかと思い、結果コミ症となる。コミュニケーションを上手くとるには嘘をつかない自分になることしかない。
「利己主義と劣等感の深い関係。人を観察していると、時になんであの人はここまで利己主義なのだろうと思うことがある。それはその人が強い劣等感に苦しんでいるから。劣等感による心の傷を癒すためには、権力やお金や地位が欲しい。なのでそれを得ようとして、他のことは眼に入らない。自分の利益にならない相手は自分にとって価値がないと感じる。だから自分が名誉や権力を持たなければ、他人は自分を相手にしてくれないと思う。利益に直結しない日常生活は全て無駄だと思っている。病人を見舞いに行かない。無駄だと感じる。やさしさや思いやりがない。犬はその人に何の利益ももたらさない。でも人は犬を飼う。それは安らぎや色々なものを犬が与えてくれるから。劣等感が強ければこうした犬の価値が分からない」
著 加藤諦三 やさしい人より抜粋