「自分にとって最も大事なことは何かを考える。会社の出世である人もいるし、家族である人もいるし、自分の趣味の世界である人もいるだろう。何が大切かは人によって違う。その自分の大切なことを基準にして判断すれば、人はそれほど迷わない。迷うのは欲張りだからである。あっちもほしい、こっちもほしいと欲張るから迷うのである。結婚しようとしていた人がいる。ところが別の人が現れた。そしてその人に気を移して結局二人から見放される。今の自分の仕事がうまくいっているのを放っておいて別の仕事を探す。バブルの時代に本業をしないで、もっと安易にお金が儲かる仕事を探す。そしてバブルの時代の終わりとともに挫折。不満の原因を間違えている人が多い。大切なのはまず【自分は自分に不満なのだ】と認めることである。そしてその原因を知ることである。自分の不満な原因に気づくことである。たとえば自己実現していないことが不満の真の原因であるにもかかわらず、望むものが手に入っていないことが不満と思っている人がいる。ライオンがねむっているウサギを見つけて食べようとしていたら、シカが通りかかったので、ウサギを放っておいて、シカを追いかけました。ウサギは物音におどろいてにげました。ライオンはシカを長いあいだ追いかけましたが、つかまりませんでしたので、ウサギのところへきましたが、ウサギはにげたあとでした。そこでライオンは言いました。【こういう目にあうのはあたりまえだ。せっかくとれたえものを放っておいて、大きな望みをおこしたからだ】自分の今ある喜びを感謝しないでまた別の仕事を探す。幸せの青い鳥を探しすぎて不幸になる人がいる」
著 加藤諦三 一部抜粋