「燃え尽きる人は【間違ったボートに乗っている】。問題は、燃え尽きるような人は、自分が【間違ったボートに乗っている】ということ自体が分からなくなっている。間違ったボートに乗ってイヤだなーという事が分かれば、今、自分はどうすればいいか分かる。しかし自分が今している仕事がイヤなのか好きなのかも分からない。今自分がいる会社が自分に適しているのか、適していないのかが分からない。そういう人は毎日ただただ頑張るだけ頑張っている。そして生きるエネルギーを失っていく。あるいは心の底では【間違ったボートに乗っている】と分かっているのに、それを認めたくない。そういう人も次第に生きるエネルギーを失っていく。【自分はこの仕事に向いていない、でも生活のために働いている】。そう分かっている人はまだ幸せ。現実否認をしていないからエネルギーはある。そう割り切れば、毎日ただただ頑張るだけ頑張って燃え尽きていくことはない。そういう人はただ夢中になって働いて倒れるということがない。どこかに自分の世界を見つけようとする。燃え尽きる人は、ただ夢中で働くだけで、限りある力の配分を考えない。どの仕事も同じようにエネルギーを使い、消耗する。好きか嫌いかが分からないから、エネルギーの使い方が分からないのである。ただ人に低く評価されないということだけに気を使い、自分の力の限界を考えない。そして仕事の質量が自分の力の限界を超える。そこで倒れる。好きか嫌いかが分かれば、この仕事では頑張るが、この仕事では低く評価されても仕方ない、という姿勢になる。好きと嫌いの感情を失うと、対人的なことばかりでなく、仕事でも八方美人になる。好きと嫌いの感情があれば、自分の世界ができる」
著 加藤諦三一部抜粋