「ハイリスク・ハイリタ―ンの人生を選択しながら、リスクに対する覚悟がない人がいる。自分がこの人生を選択したという自覚がない。その自覚があれば、悲劇に見舞われたときに自分の選択の結果と思える。しかしその自覚がないとハイリスクのほうに人生が傾いたときに不安になる。逆にローリスク・ローリターンという自分の選択をしておいて、ローリターンのときに不満になる。ハイリターンの人生を選択しながら無理にリスクを避けると、知恵が生まれない。元を取ろうとするからすべてを失う。自分に都合にのいいところだけ取って幸せになろうとしている。だから幸せになれない。ローリスクでハイリターンを求める人が、自分の位置を分かってない人である。そんなうまい話は現実の世の中にはない。こういう人は詐欺師から【もしもしカメよ、カメさんよ】と声をかけられる。困難を避けて幸せになろうとしても無理である。努力しないで人間関係をうまくしようとしても無理である。昨日いい加減に生きた人は、今日は昨日を同じように生きられない。昨年、今年の準備をきちんとした人が今年も安らかに生きられる」

著 加藤諦三 一部引用