「何かの人生の行き詰まりを、われわれは、よく経済的な問題にする。しかし、なかにはその経済的な問題は単なる引き金であって、真の問題は、その人の内面の葛藤ということがある。潔く負けることができるというのは、あまり評価されていないが、大切な長所である。【負けるが勝ち】という格言は、不運な時ほど思い出す必要のある格言である。潔く負けることが、時には勝つために必要なことでもある。潔く不運を受け入れなければ、運は好運してこない。シーベリーは【まず失っておかないと後で勝てない】ということを言っている。大切なことは、失うことによって報われる日がくることを知っていることである。負けた日に、勝つ日がくることを知っている者はくじけない。不運な時、いつか幸運な時がくるのを信じるのである。不運だけの人生もなければ、幸運なだけの人生もない。人生ではいかに戦うかも大切であるが、いつ戦うかを知ることも大切である。不運な時に戦っても勝てるものではない。お互いに同じ運の時に戦っても、勝つのにはたいへんなエネルギーがいる。それなのに、相手と不運という二つを敵にして戦っても勝つ見込みはない。不運な時に、カァーッとして戦えば、すべてを失う危険がある。やがていつの日か、やることなすこと怖くなるほどうまくいく時が来る。その時には思い切って波に乗るのである。不運な時、それは自分の出る幕ではないのである。やがて自分の出る舞台の幕があがる」

著 加藤諦三 成功と失敗を分ける心理学より一部抜粋