「騙す人には幸せな人はいない。騙す人はヒステリー性格であり、健全な情緒の発達をしていない人が多い。幸せな人には、親しい人がいる。しかし人を騙す人は親しい人がいない。騙す人は自分のことしか考えていない。こんなひどいことをしたら相手がどれだけ苦しむか?そんなことは全く考えていない。【この果実が一番うまい】という理由だけで、彼らは人の果実を盗む。それはちょうど幼児と同じである。自分のことしか考えてない幼児は可愛いが、成人になって幼児と同じ心理の人間を、人は怖いと思う。人を騙す人を観察すると、確かに何とも異様な雰囲気を醸し出している。自分の利益、それが彼らの全世界である。それ以外のものは何もない。自分の利益にためなら、どのような人でも騙す。恩義のある人でも騙す。命の恩人でも騙す。嘘もつく。それでいて自分がひどいことをしているという意識はまったくない。なぜなら彼らにとってリアリティーのあるものは、自分の利益だけだから。他人の気持ちなど彼らにとっては何のリアリティーもない。自分が騙した人がどれだけ傷つき、苦しみ、滅びていっても、何も感じない。人に同情するということは一切ない。もし、それがあるなら人を騙せない。彼らにとって他人は人間ではなく、ものなのである。だから騙しても何も感じない。相手が苦しんでいても何も感じない」
著 加藤諦三 どうしても許せない人より一部抜粋