事業をやっていると色々な人に騙される。表面はにこにこして近づいてきてこちらのメリットになるようなことを言い、ふたを開けてみたら詐欺みたいなことなんてたくさんある。だから近寄ってきた人が悪い人なのか、誠実な人なのかを見抜く必要がある。これは極めて難しい。時間をかけて見抜くならまだしも、一、二回会ったくらいで心を見抜かないとならない。その一二回の判断にてパートナーとして仕事を進めていく。そうすると人を見抜けないと騙されてしまう…。

「本当の悪人は、仲間の顔をしながら側にいる。ある人が悪質不動産から問題のある土地を、問題のない土地と説明されて買った。その為に隣の家といさかいが絶えない。一番悪いのはよく土地の説明をしないで利己的な考えだけで売った不動産である。それなのに両家はお互いに争って消耗している。両家は被害者なのにその事に気づかない。それは売った不動産屋が、買い主の方の味方のふりをしてすでに住んでいた隣の家の悪口を言っているからである。不動産屋は売った土地が抱えている問題を隠そうとしているから、隣の家の悪口を吹き込んでいる。隠す為に対立を意図的に作り出している。その問題の土地を買った買い主は不動産屋にいいように操作されている。何かを隠そうとしている人がいる。するとそこに対立を作り出して自分だけがうまく立ち回ろうとする。そこの人間関係が対立して争っていることがその人にとって都合がよいから。これが本当に悪い人。大声を出して相手を威嚇するような人はあまり問題はない。時には怯えているから大声を出しているだけの時もある。本当の問題は弱くて惨めな人を演じながら、実は皆を操ってる人。弱い顔をしながら腹の底は笑っている。腹黒い人というのが一番怖い。【本当に悪い人は誰か】を見極める能力は人生を生きていく上で、重要な事。それができないと精神病になったりもする。そういう人は人が見えてない。生きるのがつらいというのは、周囲の人が見えていないから。ずるい人にずるい事をされないで生きていくのが幸せへの道。ずるい人は現実の世の中には沢山いる。嘆いていてもしょうがない。ずるい人はこの世の中からいなくならない。ずるい人と関わらないで生きようとすれば山の中で生活するか、死ぬしかない。天気の日もあれば雨の日もあるように、ずるい人もいれば、誠実な人もいる」

著 加藤諦三 たくましい人より抜粋